> > 野口茂幸さんインタビュー
野口茂幸さん
病気とわかったら、
もらえるお金についてリサーチを!
家計も、健全な状態へと
整えることが大切。
大学卒業以来、税務の道を歩み続けてきた野口茂幸先生。税理士としての経験を積み重ね、2023年1月に念願だったご自身の野口会計事務所をスタートさせました。今回は、がん患者となった方々が利用できる助成制度、各種支援の他、家計管理のコツについてもご教授いただきました。

がん患者さんのための各自治体の支援について、教えていただけますか。

生活全般の助成としてもっとも有名なのが「生活保護制度」ですが、こちらは預貯金、資産などをゼロにしないと受けられず、ハードルが高いものます。
厚生労働省によると、生活を支える支援で比較的申し込みやすいのが「住居確保給付金」となります。これは、家賃3ヵ月分を支給してもらえる助成制度です。細かい条件などは以下をご確認ください。なお、現在行われている生活支援に関する国の給付金一覧は「生活支援のご案内」より、ご覧いただけます。

住居確保給付金
https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html

生活支援のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622924.pdf

各自治体で行っている助成制度、または支援機関の助成制度についても、簡単にネットで検索できます。また、お住まいの市町村の自治体に出向き、相談することもできます。例えば、埼玉県では、がんワンストップ相談(がん就労支援)が設けられていて、予約制で個別相談が可能です。

がんワンストップ相談
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0705/gantaisaku/gantiryoutosigotonoryouritusien.html

NPO法人の支援については、それぞれの団体で特色があります。ここでは代表的な組織をご紹介します。

■認定NPO法人がんサポートコミュニティー

医師、看護師、臨床心理士などが在籍し、サポートグループによって、患者さん達が支え合い、情報共有できる機会を設けている。他にも自律訓練法やヨーガなどイベントも多数あり。

■NPO法人がんコントロール協会

栄養面、食事面からのアドバイスを中心に活動している。食やサプリメントなどについて相談しやすい。

■認定NPO法人キャンサーネットジャパン

冊子や動画配信など情報提供サービスがメイン。健康に関して役立つ動画や冊子などの情報が手に入る。

電話やメールで問い合わせ、ご自分のニーズに合った支援が受けられる団体を探してみてはいかがでしょう。
会員登録の際の会費がかかる団体もあります。また、寄付する際の控除などについても、できる団体とできない団体があるので、事前に確認することをおすすめします。

がん治療に入ったら高額療養制度を賢く利用しましょう。
お勤め先へのご相談もお忘れなく!

がん治療によって多額の治療費がかかった場合に使える
「高額療養制度」について、教えてください。

「高額療養制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費が特定の上限を超えた場合、超えた額を支給される制度です。手続きは、お住まいの自治体の公的医療保険の窓口で行えます。

例えば、「年収約370〜770万円以内で、総医療費が100万円」の場合

総医療費が100万円で公的医療保険での負担が3割の場合、
窓口で支払った30万円から自己負限度額87,430円を差し引いた212,570円が還付されます。

自己負担限度額の求め方は・・・、
80,100円+(100万-26万7,000円)×1%=87,430円

年収別1ヵ月ごとの自己負担上限額は、次の通りとなります。
ただし、年収以外にも、個人または家族構成、年齢などの条件によって、計算が違ってきます。概算については、お住まいの自治体に相談すると教えてくれる場合もあります。

「年収別1ヵ月ごとの自己負担上限額」(参考例)

(69才以下の方)

①年収約1,160万円以上
・・・ 252,600円+(医療費-842,000円)×1%
・・・ 多数回の場合 140,100円

②年収約770万円~約1,160万円未満
・・・ 167,400円+(医療費-558,000円)×1%
・・・ 多数回の場合 93,000円

③年収約370万円~約770万円未満
・・・ 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
・・・ 多数回の場合 44,400円

④年収約370万円未満
・・・ 57,600円
・・・ 多数回の場合 44,400円

⑤住民税非課税者
・・・ 35,400円
・・・ 多数回の場合 24,600円

(70才以上の方)

①、②、③は69才の場合と同じ
④年収約156万円~約370万円未満(要件により金額が異なります。)
・・・ 18,000円(個人単位)
・・・ 57,600円(世帯合算)/多数回の場合 44,400円

⑤住民税非課税者(要件により金額が異なります。)
・・・  8,000円(個人単位)
・・・ 24,600円 又は 15,000円(世帯合算)
・・・ 多数回なし

※1 お1人1回分の窓口負担で上限を超えない場合でも、複数の受診や同一世帯の方の受診につき、窓口で支払った自己負担額を合算することができます。
ただし、69才以下の方の合算については、同一世帯で同一月内に21,000円以上の自己負担額が複数ある場合には、原則世帯合算となります。21,000円以上の自己負担額が1つしかなく世帯合算が行われない場合は、単独での自己負担額が自己負担上限額を超えた場合にのみ高額療養費の支給対象となります。

※2 過去1年以内に3回以上、上限額に達した場合、4回目から上限額が下がります。(多数回の場合)

※3 69才以下と70才以上の双方が含まれる世帯合算は、計算が複雑なため割愛させて頂きます。

お勤め先の会社のサポート体制についても、ご確認を!

大手企業の場合は、社員ががんになった場合のサポート体制も充実しています。中小企業の場合は、制度としてはなくても個別で相談できることもありますので、ご担当者に確認してください。勤めている会社の支援が少ない場合は、NPO法人などを利用することを考えてみましょう。

治療費として、なかなか認めてもらえないウィッグ。
自治体の助成、メーカーの割引サービスなどのご活用を!

抗がん剤治療で、負担になるのがウィッグの費用。
医療費控除などで、ウィッグを助成することはできますか?

残念ながら、ウィッグの購入には医療費控除制度が使えません。医療控除というのは、病気を治すために必要な費用が対象となります。そのため、病院での費用の他、湿布などの薬剤や病院への交通費などは対象となりますが、ウィッグはまだ社会的な理解が追いついていないため、治療の一環とみなされていません。
ただし、ウィッグをつけないと精神的な負担が大きく日常生活が送れないといった場合、皮膚が弱いためウィッグが必要である場合など、医師の診断書があれば、医療費控除ができる可能性はあります。ウィッグの使用が治療の一環となるかは、通っている病院にご相談ください。

加入している民間保険をチェック!

民間の保険の場合は、ウィッグの費用まで保険対象になっていることもあります。ご自分が契約している保険内容を改めて確認するとともに、保険会社に問い合わせてみましょう。

自治体で行っているウィッグの助成制度

各自治体で行っているウィッグの助成制度については、ネットで検索できます。ただし、助成金は1~3万円位が相場となります。ほとんどの自治体が申請書、領収書、診断書が必要で、なかには住民票や通帳の写しなどが必要な場合もあります。自治体の助成または民間保険どちらかしか申請できない場合もありますので、その際には助成金が高い方で申請してください。

マリブウィッグの回復支援割引サービス

病気治療を行っている方ならどなたでも、ウィッグを1~2割引で購入することができます。
税別10万円未満の商品は「10%引き」、税別10万円以上の商品は「20%引き」にて、ご購入いただけます。

何かとお金のかかるがん治療。家計を守るためにできる節約術などはありますか。

何にいくらかかっているのか、簡単に家計簿をつけてみましょう。無料の携帯アプリなどで手軽につけられます。私自身も家計簿はつけていて、今月はこの費用がかかりすぎたから、来月はこうしようなど、調整するようにしています。私が担当しているお客様も、通帳をまめに記帳したり、家計簿をよく振り返っている方は、大きく遣い過ぎたりはしていないようです。
まずは「住宅ローン」「光熱費」「通信費」「自動車経費」など、固定費の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

住宅ローンの見直し

がんの治療が数年かかることが予測される場合は、その期間のみ金利を下げてもらう、期間を延ばして毎月の支払金額を下げるなど、住宅ローンの窓口に相談してみましょう。聞いてみると、対応してくれる場合があります。または、もっと金利の安い銀行に借り換えることも考えてみましょう。がんになったら住宅ローンがゼロになる、一時金が払われるといった「がん保険付きの団体生命保険」を契約している方は、必ず契約内容を確認してください。

光熱費の見直し

値上げが続いている電気料金、ガス料金は、契約会社を変えることで安くなる場合もあります。国が行っている節電アクションなどに参加すると、ネット等で使えるポイントがもらえます。基本料金を50Aから40Aに下げたり、電気代が高くなりがちなオイルヒーターやエアコンなどの使用時間を減らすだけでも、毎月の電気代が変わってきます。

通信費の見直し

自宅のインターネットや携帯電話などが昔の契約のままになっている方は、もっと安いプランやサービスがないか、確認してみることをおすすめします。料金の比較サイトなどがありますので、参考にしてみてください。

2023年より独立され、ご自身の会計事務所を設立された野口先生。
法人だけでなく、個人の税務相談も可能なのでしょうか。

もちろん、個人の方の相談にもご対応しています。
これまで税務の仕事を20年やってきました。専門学校で消費税の講師をしていた他、会計事務所に在籍し、法人税、相続税、贈与税など企業だけでなく生活に根ざした税務のご対応をしてきました。私はどちらかというと、大手企業様よりも中小企業様の経営改善や経費削減の施策などを得意としています。個人の皆様の確定申告や各種申請などについても、お気軽にご相談ください。

野口茂幸さん
野口茂幸さん
税理士、野口会計事務所所長

大学卒業後、1999年より大手専門学校にて税理士科消費税法講師として4年間勤務。2005年より都内会計事務所で通算約5年間勤務、2010年より税理士法人MIRAI合同会計事務所で約12年勤務した後、2023年1月より野口会計事務所を開業。法人経理・財務から個人の確定申告、相続まで幅広くご対応。

医療向けウィッグ

MEDICAL WIG

治療中も素敵なヘアスタイルで
明るく過ごしていただくために。

治療中は頭皮もデリケートになりがちです。
マリブの医療向けウィッグは、地肌に直接触れても刺激が少なく、
接触冷感性により熱や湿気がこもりにくい独自の
「メゾクールネット」をベースに使用し、快適さを追求しました。