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Lizさん
がん治療経験後に始めた
乳がんヨガのコミュニティー。
今は人のお役に立ちたい気持ちで
いっぱい。
乳がんを乗り越えた経験から、仕事の合い間をぬって乳がんヨガのコミュニティーを立ち上げた、ヨガインストラクターのLizさん。治療の過程で感じたこと、ウィッグをつけ始めた頃のこと、これからの目標など、自分らしく前向きに生きていくコツをお話いただきました。

ご病気がわかり、がん治療が始まるまでの経緯について教えていただけますか?

お風呂に入っているとき、胸にしこりを見つけたんです。ただ、その事実を受け入れるのが怖くて、2ヵ月そのまま過ごしていました。ただ、このままではまずいと思い、最初はマンモグラフィとエコーの検査ができる近所のクリニックに行ったのですが、エコーの画像を見た後、大きい病院を紹介され、病理検査をすることになりました。検査の予約をとるのに3週間かかりました。その後の抗がん剤の治療もたいへんでしたが、精神的にきつかったのは、最初の検査結果を聞くまでの間でした。病理検査の結果が出るまで1週間、乳がん告知まで1週間、サブタイプが判明するまでに3週間ほどかかり、さらに詳しい検査でまた3週間ほどと、状態がわかるまでにずいぶん時間がかかりました。

もともと検査に行かないタイプで、がんに関する知識もなかったので、もしステージ4なら死ぬというイメージをもっていました。もちろんその後、ステージ4でも生存の可能性がちゃんとあると知りましたが・・・。また、転移しているのかどうかわかるまで、本当にこわかったです。幸いにもステージ2bで、治せる可能性があるからと前向きに治療に取り組むことができました。私が主催しているヨガのコミュニティーでも一番不安と聞くのが、病理がでるまでと治療方針がでるまでです。

思っている以上に長いおつきあいになるウィッグ。
お気に入りは、抗がん剤を始める前に用意しておくべき。

抗がん剤治療を体験され、心と体にあった変化についてお聞かせください。

検査結果からトリプルポジティブ(ホルモン受容体もHER2、ともに陽性)というサブタイプが判明。ガイドライン通りの標準治療で問題ないということで、手術前の半年間、術前抗がん剤治療を受けました。EC療法を2週間に1回4クール、次にドセタキセルとハーセプチン、パージェタを3週間に1回4クールを計5ヵ月かけて受けました。

ヨガをやっていたこともあり、きつい薬である抗がん剤を身体に入れることには抵抗がありました。ただ、有名な産婦人科医の先生から標準治療の大切さをお聞きする機会があったため、初発のがんは抗がん剤治療を行うことにしました。

やってみて良かったのは、薬が効き、がんが消滅したことでした。それ以外のことは何もないです・・・。副作用は、これまで経験したことがないような症状で、吐きはしないもののとても気持ちが悪くて、メンタルまで落ち込みました。抗がん剤を打つときは日帰りで、手術のときが3泊4日の入院。正直、手術するよりも抗がん剤の方がきつく感じました。その後は放射線治療が計25回、毎日病院に通いました。放射線治療は抗がん剤治療よりラクでしたが、それでも肌が黒くなってペリペリめくれた状態になりました。
私の場合、一人暮らしなので家では何も気にせずいつでも寝られた分、全部自分でやらなければいけない大変さはありました。平日は派遣社員として事務職をしているのですが、会社にがん治療のことを相談すると、仕事を続けられるように配慮してもらえました。それでも、身体のだるさからミス連発。フォローしていただきながら、今でも仕事を続けています。私はいつも外の世界とつながっていないとダメなタイプなので、今の働き続けられる環境にはとても感謝しています。

かつては美容師だったLizさん。ウィッグはどのタイミングで購入されましたか?

病院では、最初に抗がん剤治療の副作用の説明がされました。他のことに関しては個人差があると説明されたのですが、この薬は「必ず脱毛します」と伝えられ、いわれた通りになりました。抗がん剤治療を始めて2週間で髪が抜け始めたのですが、ウィッグの準備が遅れていました。抗がん剤治療スタート後、具合が悪いなかで探そうとしたため、ネットで選ぶしかありませんでした。しかも、いいなと思ったウィッグは品切れ。実際に手にしてから返品も可能なのですが、体調が悪いと返品する余裕さえありません。ウィッグを選ぶにも体力がいるんですよね。

もし、抗がん剤治療をするときには、抗がん剤治療スタート前の元気なうちにウィッグを準備した方がいいと思います。ネットで探すよりも、お店の方が毛質や頭のサイズがわかり、長さの調整もしてもらえるなど、サポートを受けられるので安心です。ただ、私は元美容師なので、ウィッグの長さは自分で切って調整すればいいと思っていました。

マリブウィッグさんのウィッグは初めて触りましたが、すごく軽いですね!私が使っていたのはもっと重くて厚みもあったので、着用中にうっとおしく感じることがありました。重いと締め付けがきつくなり、頭痛になりやすいんです。これって、人毛も入っていますね。このウィッグが10~20%割引き(マリブウィッグの回復支援価格)で買えるのは嬉しいですね。

その他にも、ウィッグで工夫していることなどはありますか?

私が買った本命ウィッグは、人毛が10%ぐらいのものでした。全部で4つ揃えたのですが、会社では髪型を頻繁に変えると驚かれるので、本命ウィッグのみを使い、プライベートではボブを1つ、ショートを2つ、気分に合わせて付けていました。髪が抜けてから伸びるまでに1~2年ほど使うことになるので、同じウィッグを2つ用意して、使っている人もいますね。最初はセミロングのウィッグを結んでアップヘアーにしてみようかと思ったのですが、やってみると自然な感じにならなかったので諦めました。

インナーキャップについては、髪の量がどんどん変わってくるので、サイズが合わなくなり、何度か買い直しました。素材もコットン100%で蒸れにくいものを選びました。

ウィッグをはずすタイミングは難しいと思うのですが、私は3cmぐらいのショートの時にとりました。前はストレートヘアーだったのですが、抜けた後に生えてきたのは癖毛。ちょっとチリチリしているのを、今はヘアーアイロンで伸ばしています。人によって髪の毛の伸びるのが遅い、トップだけなかなか生えてこないこともあるので、ウィッグを使う期間は思っているよりも長い場合があります。

「明日があるのが当たり前じゃない」と知ると
人生の時間を大事にしようと思えるようになった。

ヨガインストラクターとして活躍しているLizさん。
その他にも、心と体のために行っていることはありますか?

2022年3月から乳がんヨガのクラスをスタートさせました。スタジオとオンラインのクラスがあるのですが、現在登録者は100名超。小さなコミュニティーとして、励まし合える場として続けています。一人じゃなくて安心したという方が多くいらっしゃいます。

一方で、がんは自分自身が受け入れられないときが一番つらいもの。それを「ヨガによって受け入れる練習ができたらいいな」という想いをもって続けています。生徒さんは元気になると足が遠のく方もいますが、このコミュニティーが必要なくなるのも、その方にとってはいいこと。そして、また不安なことがあったら来てくれる、保健室的な役割でいいのかなと思います。普段はゆるめのヨガを中心に行っているのですが、長く続けてくださっている常連さんは、もっと動けるレッスンがいいということで、中級者向けのヨガも行っています。

これから新たに挑戦したいことはありますか。

ヨガを人に教えるなら、自らも学び続けなければと思い、今もヨガの先生について習っています。手術をしてから、腕の可動域はすぐに戻ったのですが、手術で切った影響もあり、脇から下にかけての感覚がにぶいというか薄い感じなのです。そのため、手術後に出来ないポーズもあるのですが、今はあえて昔できなかったポーズを練習しています。乳がんになる前の自分には戻れませんが、もしかしてそれを追い越すことはできるんじゃないかと。昔の自分がやったことのない新しいポーズに挑戦し、今を超えていきたいと思っています。
昔は旅行をするのが楽しみで、よく行っていました。人は病気になると、これまでやっていなかったことをやりたいと思うもの。私は十分に好きなことをやってきたので、今は旅行に行くよりも人のお役に立ちたいという気持ちでいっぱいです。ヨガのコミュニティーも、そのひとつ。明日があるのが当たり前じゃないと知ると、自分の人生の時間を大事にしようと思えるようになりました。

同じ治療を始めようと考えている方に応援メッセージをお願いします。

病気になると、友達がいても、家族がいても、孤独を感じてしまいがちなので、私のブログでも常に「一緒にがんばりましょう」と伝えています。いろいろな人と集まって会話できることが大切です。
今までは患者会があったのが、コロナ禍で一時的にストップしたので、同時期に乳がん治療した人は、集まれる場がありませんでした。ヨガで、サットサンガ(悩みを共有する)という考えがあるのですが、みんなで呼吸を合わせるだけでちょっとラクになれるんです。私自身も、ヨガのコミュニティーをつくったら、呼吸法とサットサンガをやろうと前から思っていました。人は緊張していると肩で呼吸をし、苦しい状態になります。術後に身体をかばうことで、姿勢も丸くなりがちです。意識的にヨガをすることで胸を開き、呼吸をすることが大切です。誰かと呼吸を合わせたり、語り合ったり、共感することで、また明日からがんばれるはずです。

Lizさん
Lizさん
ヨガインストラクター

2021年3月、乳がん(ステージ2B仮)告知される。サブタイプ:ルミナールHER2(トリプルポジティブ) 術前抗がん剤⇨温存手術⇨完全奏功(2021年11月) ⇨放射線治療⇨分子標的薬治療まで完了。ホルモン療法中。美容師を経て、現在は派遣社員&ヨガ講師として活躍。東京・銀座にてオンライン&対面の乳がんヨガを主催。

Lizsmile 乳がんヨガ(オンライン&東京対面)

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